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Mastodonの始め方と使い方―Threadsに代わる新SNSのすすめ
今までのより使いやすくて安全なSNSはないのか――。イーロン・マスク氏のもとでTwitter(現・X)が使いにくくなったのを背景に、いま「できることなら移動したい」と移行先を模索する人が増えています。ではどれがいいのか、というのが次の問題になりますが、私がおすすめするプラットフォームは、ズバリMastodon(マストドン)一択です。 **今回は、Mastodonの始め方と使い方を、この記事だけで事足りるよう、画像とリンク付きで解説します。** 最近はMetaのThreads(スレッズ)や、Twitterの創設者が新しく作ったBluesky(ブルースカイ)が世界中で大きな注目を集めました。でも、実はもっといい選択肢がある。いまこそ私が知る最善の選択を紹介しますので、みなさんが快適なSNSライフを送る参考にしてもらえればと思います。 目次 * 1 アカウントの始め方 * 1.1 公式サイトにアクセスする * 1.2 サーバーを選ぶ【更新】 * 1.3 ルールを確認 * 1.4 登録する * 1.5 登録完了! * 2 Mastodonの使い方 * 2.1 分散型特有な「リアルタイムフィード」を解説 * 2.1.1 自サーバータイムラインについて知っておくといいこと * 2.1.1.1 チャットのような使い方について * 2.1.1.2 「どうせ誰も見てないだろう」は通用しない * 2.2 投稿の公開範囲 * 2.2.1 「鍵アカウント」にする方法 * 3 「分散型」とか「サーバー」って何? * 3.1 サーバー引っ越しのやり方 * 3.1.1 旧アカウントのデータをエクスポート * 3.1.2 新アカウントを準備 * 3.1.3 旧アカウントで引っ越し設定をする * 3.1.4 新アカウントにデータをインポート * 3.1.5 引っ越しの際の注意点2点 * 3.1.5.1 旧アカウントでのやり残し * 3.1.5.2 投稿を移行するには外部ツールが必要【更新】 * 4 Threadsにとびつく前に知るべきこと * 4.1 次世代SNSは「フェディバース」の方向へ * 4.2 Mastodonをおすすめする理由 * 4.2.1 「有名大企業=いいこと」ではない * 4.2.1.1 Threadsで勝負をかけるMeta社の過去と実情 * 4.2.2 従来型SNS運営のデメリット―ユーザーは優先されない * 4.2.3 オープンソース・分散型だから可能になったこと * 4.3 Mastodonのおすすめポイント5選 * 4.3.1 大好評! 本文や画像を隠せる「閲覧注意(CW)」機能 * 4.3.2 「お気に入り」したものは相手以外には非公開 * 4.3.3 フォロー先とフォロワーを非公開にできる * 4.3.4 タイムラインに表示される投稿の言語をしぼれる * 4.3.5 古い投稿を自動で削除 * 5 結びに―最善の選択・Mastodonにいざ来たれ! * 6 関連記事・リンク ## アカウントの始め方 まずはアカウントの開き方です。 下記の通り、Mastodonには一か所だけ、従来のSNSにはなかった新しい概念があります。その点が、筆者を含め、多くの人が二の足を踏む原因になってきました。ですが、筆者はいざやってみたらたった2分でアカウント開設完了。たったこれだけのことだったのか、と気が抜けました。 以下に沿って進んでいけば間違いなく、すぐにでも使い始められるはずです。 ### 公式サイトにアクセスする 登録は公式サイトから行えます。読者の手間を省くため、以下に日本語ページへのリンクを貼っておきます。 外部リンク:公式サイト(日本語版) Mastodon公式サイト(日本語) 実はここで、「アカウントを開くサーバーを選ぶ」というあまり聞き慣れないステップがはさまります。二つのボタン「mastodon.social に登録」と「ほかのサーバーを探す」のどちらへ進むかについては、次の項を参考にしてください。ただどちらにせよ、この点は後からいつでも変えることができるので心配はいりません。 ### サーバーを選ぶ【更新】 **MastodonというSNSは、ちょうど公式サイトのイラストのように、宇宙にたくさんある星(=サーバー)がつながっていて、そのうちの一つを自分の拠点にする、というイメージでできています。** 自分が拠点にした星(=サーバー)は他の星とつながっており、フォローなども普通にできるので安心。 この「サーバー」という概念は、X(旧Twitter)やFacebook、Instagramといった今までのSNSにはありませんでした。なので、たいていの人はここで迷い、ともすればアカウント開設をあきらめたりしがちです。かく言う私も、最初はどのサーバーがいいのだろうといろいろ調べたりしたものでした。 **結論を先に言ってしまえば、サーバーはMastodon公式か、代表的な日本語サーバーを選んでおけば間違いありません。** 公式サーバー。自分で選ばなければ、アカウントは公式サーバーで作られるのがデフォルトになっている。 それに、サーバーは後から何度でも引っ越しできます。引っ越しは設定画面からデータをエクスポートし、新しいサーバーでインポートするだけなので、難しくありません。 なのであまり迷うことなく、以下リストのどれかでとりあえずアカウントを開いてしまうことをおすすめします。 * mastodon.social(公式) * mstdn.jp(日本語の定番サーバー) ちなみに私は日本語サーバー「mastodon-japan.net(※2026年1月31日をもって閉鎖)」でスタートしました。現在は同じく日本語の汎用サーバー「Fedibird(フェディバード)」と公式の「mastodon.social」でアカウントを持っています。(Fedibirdは招待制のサーバーで、新規登録するには招待リンクが必要です。ただ、Fedibirdの招待制は大量な新規登録を防いだりするために設けられた表向きの仕様で、実はたいていいつも招待リンクがウェブ上で公開されています。かく言う私もそれを拾って登録した一人。なのでサーバー内に知り合いがいなくてもたいてい登録は可能なのですが、初めての人にはちょっと分かりにくいかもしれません。) サーバーを決めたら、「アカウントを作成」をクリックします。 ### ルールを確認 Mastodonでは、サーバーごとに利用者のルールが設定されています。 たいていのサーバーが設けているのは、差別・ヘイトスピーチや誹謗中傷の禁止です。他、暴力行為の扇動禁止、陰謀説の禁止、性的コンテンツを投稿する場合はセンシティブ指定をする、などの規定もよくあります。ルールといってもごく当たり前のことであり、特にむずかしいものではありません。 サーバー「Mastodon-japan.net」のルール。 選んだサーバーのルールに同意できるなら「ACCEPT」をクリックして次に進みます。 ### 登録する ここまできたらいよいよ登録です。 登録画面。特にめずらしい点はない。 「表示名」は、プロフィールに表示される名前のことです。あとでプロフィール編集から変更できるので、そこまで深刻にならなくて大丈夫です。 一方、二番目の「ユーザー名」は、アドレスの一部として使われます。Twitter(現・X)でいうと「@xxx」「https://twitter.com/xxx」の「xxx」にあたる文字列です。この「ユーザー名」は後から変えることはできません。嫌になった場合は新しいアカウントを作るしかないので、こちらは慎重につけることをおすすめします。 あとはメールアドレスと設定したいパスワードを入力し、プライバシーポリシーに同意したら「登録する」をクリックします。 ### 登録完了! 確認用のメールが送信されますので、メールに載っているリンクを開きます。 これでメールアドレスの確認ができたので、めでたく登録完了! さっそく使い始めることができます。 ## Mastodonの使い方 **Mastodonの使い方は、Twitter(現・X)とほぼ同じと考えて大丈夫です。** 投稿(「トゥート」といいます)は500字までOK。画像、動画、音声をアップしたり、アンケートを付けることもできます。 「今なにしてる?」のところに本文を書いて「投稿」を押す。他のSNSと変わらない。 投稿にリアクションする方法は、左から、返信、ブースト、お気に入りです。パソコンで閲覧している場合はブックマークのボタンがその右に並んでいます。 投稿の下にあるボタンが、左から返信、ブースト、お気に入り、ブックマーク。これも他のSNSでおなじみ。 「ブースト」はTwitter(現・X)でいう「リツイート(現・リポスト)」と同じで、他の人の投稿を自分のタイムラインにシェアできます。「引用リツイート」にあたる機能があるかどうかはサーバーによって異なります。 ☆マークの「お気に入り」は「いいね」と同じです。Xをはじめとする他の多くのSNSと違い、自分が何に「お気に入り」を押したかが分かるのは相手だけで、それ以外には公開されません。助かる、重宝すると感じる人は多いのではないでしょうか。 「ホーム」には、フォローしている相手の投稿が表示されます。他のSNSのように、広告や、他の人が「いいね」したものなどが出てくることはありません。自分好みにカスタマイズできる感じです。 ほか、ダイレクトメッセージや、ミュート・ブロックの機能もあります。 ### 分散型特有な「リアルタイムフィード」を解説 以上の通り、基本的な使い方はおなじみなものばかりなのですが、唯一見慣れないとしたら「リアルタイムフィード」を開いた時の「このサーバー」「ほかのサーバー」「すべて」という用語だと思います。これはMastodonをはじめとする分散型SNS特有の概念なので、意味を解説しておきましょう。 まず「このサーバー」は、自分と同じサーバー内の公開投稿が表示されるタイムラインです。バージョン4.2.0にアップデートされる以前は「ローカルタイムライン(略してLTL)」と呼ばれていました。いまでもユーザー間では用語として使われることがあります。 一方、「ほかのサーバー」は、同じサーバー内のユーザーがフォローしている別サーバー上のアカウントの公開投稿が表示されるタイムラインです。自分のサーバー内の投稿は表示されません。ここを見れば他のサーバーの様子がよく分かります。 「すべて」には、「このサーバー」と「ほかのサーバー」の両方が表示されます。投稿の絶対数が多くなるので、タイムラインの流れも速くなります。 TwitterやFacebook、Instagramなどでは、運営会社がフォロワーの多いアカウントの投稿を優先表示するなど、タイムラインを意図的に操作しています。ですが、Mastodonではそういうことは関係なく、どのアカウントの投稿も平等に表示されます。 #### 自サーバータイムラインについて知っておくといいこと 「このサーバー(ローカル/LTL)」のタイムラインは、SNSとしては独特です。なので、アカウントを開いたばかりの時にはどうすればいいか迷うことがあるかもしれません。 そこで、新規のユーザーが入っていきやすいよう、以下では筆者がMastodonを使い始めた感触で最初から知っておくといいと思ったことを挙げていこうと思います。 ##### チャットのような使い方について 自サーバー上の投稿は、サーバー1つ分なので数が少ないです。公式サーバーのような巨大なサーバーでない限りは、目で追える程度の比較的ゆっくりしたスピードで流れます。 そのため、「このサーバー」のタイムラインには、サーバー上の知り合いとチャット的に利用している人もいます。例えば誰かが「おはようございます」とあいさつすると、返信ではなく「〇〇さんだ。おはよう!」と投稿する人がいる、という感じです。また、新規ユーザーの投稿が現れると「ご新規さんだ!」「ようこそ」と、その時いた人が迎えてくれることもあります。タイムライン上に会話の流れがあるのはかなりユニークな点といえるでしょう。 このように何人かでチャットが続いているのを目の前にすると、「自分がしたい投稿をしたらチャットの邪魔になってしまうのでは?」「Twitterの時のような”実況”はしにくい?」等迷うことがあるかもしれません。 この点に関しては、チャットをしているユーザーに気を遣いすぎることはない、というのが筆者の結論です。現に、筆者をはじめ、大部分のユーザーは好きな時に好きな投稿をしています。チャットしている人たちがそれを悪く思っているということもありません。むしろ、「会話の流れに割り込むべきでない」という不文律が形成されるようなことがあれば、「空気読め」のような古くギスギスしたコミュニティになりかねません。なので、チャット的に利用する人もいるということは、知識として知っておくだけで十分だと思います。 ”実況”をする場合は、 * 投稿の公開範囲を「ひかえめな公開」にして、タイムラインや検索に表示されないようにする * 同じく公開範囲を「フォロワー」にして、フォロワー同士だけで楽しむ * 専用のハッシュタグを付ける(実況を見たくない人はハッシュタグをミュートすることができます) といった手があります(公開範囲の変更方法は下記)。あるいは、チャット的な利用者がいない大きなサーバーを選んでもいいでしょう。でも、そうしなければいけないのかと言えば、そんなことはありません。 ##### 「どうせ誰も見てないだろう」は通用しない 以上のように、自サーバーのタイムラインは見慣れないかもしれませんが、とりたてて気を遣うようなことはありません。もしトラブルになるとしたら、それは悪口や暴言、きわどいコンテンツを投稿した場合です。 すでに説明した通り、**Mastodonの公開タイムラインでは、フォロワー数や影響力の大きさにかかわらず、全ユーザーの投稿が平等に表示されます** 。となれば、その分、問題投稿も多くの人の目に付くのです。「どうせ誰も見てないだろう」とタカをくくり、軽い気持ちで「あいつをブロックした」などと言い放ってしまうと、想像以上にサーバーを荒らすことにつながります。 もっとも、誹謗中傷や特定個人への嫌がらせ等は、どのSNSであれ、見ている人が少なければやっていいというものではありません。 とはいえ、Mastodonでは、荒々しい言葉は巨大SNS以上に人々を不安がらせてしまうことがあります。 これもMastodonに限ったことではありませんが、ネット上にアップした文や画像は不特定多数に公開されます。多くの人にとっては心配いらないと思いますが、インターネットは適切な使い方をするよう心がけるよう勧めます。 ### 投稿の公開範囲 投稿の公開範囲は、投稿する時に、「公開」「ひかえめな公開」「フォロワー」「特定の人」の4種類から選べます。 公開範囲は投稿する時にこのタブから選べる。 「公開」はその名の通り、誰でも見られる設定です。Mastodonユーザー以外も見られます。 「ひかえめな公開」にすると、その投稿はタイムライン、ハッシュタグ、探索機能、Mastodon内の検索に表示されなくなります。その他の点は「公開」と同じです。なので自分のプロフィール内には表示されますし、投稿へのリンクは誰でも知ることができます。 一方、「フォロワーのみ」にすれば、投稿を見られるのはフォロワーだけで、ブーストも自分以外はできなくなります。仮に誰かが投稿へのリンクを知ってアクセスしたとしても、フォロワーおよび本文中でメンションした相手でなければ中身を見ることはできません。 「特定の人」にした場合、投稿が表示される先は、本文中で@で指定した相手の通知のみです。他には公開されず、ブーストもできません。 #### 「鍵アカウント」にする方法 アカウント全体をいわゆる「鍵アカウント」にしたい場合は、「プロフィールを編集」の中の「フォローリクエストを不要にする」からチェックを外し、ページ下の「保存」をクリックします。 筆者は誰でもフォローできる設定にしたいのでチェックを入れている。設定を変えたら画面下で「保存」を忘れずに。 これで、自分をフォローしたい人は先にフォローリクエストを送って来るようになり、承認した相手のみをフォロワーにすることができます。 フォローリクエストの機能は、新しいフォロワーが来た時に受け入れるかどうかを自分で選べる、という感じです。**Mastodonでは、投稿の公開範囲は、アカウントまるごとというより、個別の投稿ごとに決められるように作られています。** 言い換えれば、人を選ぶような投稿をたまにするからといって、アカウントをまるごと非公開にする必要がないのです。旧Twitter等でたまにセンシティブな投稿をするからと「鍵アカウント」にしていた人には、とても使いやすくてありがたいのではないでしょうか。 ## 「分散型」とか「サーバー」って何? 「サーバー」や「分散型」という概念について先程はかんたんな説明だけにしておきましたが、ここでもう少し解説しておこうと思います。 X(旧Twitter)やFacebookなど従来のSNSでは、誹謗中傷やヘイトスピーチなど、問題ある投稿への対処は運営会社が一手に行っていました。ルールを決めるのも、投稿の削除やアカウント凍結を行うのも、全てが運営会社に集中しています。いわば「中央集権」なのです。 こうした人気のSNSは、どれもグローバル規模のサイトであり、世界中で億単位の人が使っています。しかし、その膨大な管理を担うのはたったの一企業。これではバランスがとれていません。管理の人手は常時足りておらず、それが対応の遅れにつながる一因となってきました。 それに対し、Mastodonは、もっとずっと小規模な「サーバー」がたくさんあり、それぞれに管理人がいる、という構造でできています。これが「分散型」の意味するところです。 私は何も、Mastodonが完全無欠だと言う気はありません。ネット上に問題行為があるのは、それを行う人がいるからなのであり、そういう人がいなくならない限りなくなりはしないからです。しかし最低でも、**Mastodonは、これまでのSNSで頭を悩ませてきた問題行為への対応の遅さやもどかしさを解決することには成功していると思います。** それだけでも大きな一歩ではないでしょうか。 ### サーバー引っ越しのやり方 前述した通り、サーバーは後から引っ越すことができます。 新天地へ移動していく理由はいろいろです。私は「より自分に向いたサーバーが見つかったから」「仲間がやっている小さなサーバーで知人同士の交流を楽しみたくなったから」という理由で引っ越していった人を何人も見てきました。あるいはSNSのことですから、「おかしな人達にからまれたのでアカウントを新しくしたくなった」「サーバー内の人間関係が悪化して……」ということもあるかもしれません。 私は「mastodon-japan.net」という日本語サーバーでMastodonを始めたのですが、順調に利用して2年と数ヶ月が過ぎた頃、サーバーが2026年1月で閉鎖されるというアナウンスが……。管理人さんの負担が増え、維持継続が困難になったからということでした。そのころは私の目から見てもサーバー内にスパムなど新規の悪質なアカウントが増えており、管理の大変さを察していたところでした。(アメリカのSNS運営企業は、アフリカや東南アジアで投稿モデレーターを時給2ドルなどの超低賃金で雇うことで世界規模の巨大SNSの運営を成り立たせてきました。こうした超低賃金モデレーターは、暴力を撮影した動画や自殺などの投稿を毎日見続けたことで精神に深刻なダメージを受けつつも、守秘義務を課せられていたため周囲に話すことすらできませんでした。この問題にスポットが当たるようになったのは、2022年にケニアでMetaに対する訴訟が提起された頃からです。Mastodonのサーバー閉鎖は、巨大ITのような後ろ暗い手段を使わないクリーンな運営ゆえでもあります。) そんなこんなで私は初めて別のMastodonサーバーに移ることになりました。以下ではその時のスクリーンショットとともに、引っ越しのやり方を解説します。 #### 旧アカウントのデータをエクスポート まずは、旧アカウントのデータをエクスポートしましょう。 設定から「インポート・エクスポート」→「エクスポート」へ進むと、フォロー先、ミュート、ブロック、非表示にしたドメイン、ブックマークをCSVファイルの形で保存できます。ファイル名はそれぞれ「following_accounts」「bookmarks」などになっているので、新しいサーバーでインポートする時に見分けやすくて便利です。 投稿は「アーカイブをリクエスト」をクリックします。しばらくするとアーカイブの準備ができるので、CSVと同じようにクリックすればこれまでの全投稿が入った圧縮フォルダをダウンロードできます。 「CSV」をクリックしていくだけ。 なお、データのエクスポートは引っ越しが終わった後でも可能です。なので忘れてしまっても後から何とかはなりますが、事前準備としてやっておけば新アカウントを引っ越し後すぐから今まで通りに使えて便利です。 #### 新アカウントを準備 次には、引っ越し先のアカウントを準備します。引っ越し先がまだない場合は、別のサーバーで新規アカウントを開きましょう。 引っ越し先のアカウントでは、設定の「アカウント設定」でアカウントエイリアスを作成します。 ……と聞くと何だか難しそうなのですが、ここでやることは、要するに、旧アカウントのユーザーIDを登録するだけです。ここのボックスには「旧アカウントのID+@+旧サーバーのドメイン」を打ち込みます。例えば私の場合、旧アカウントのURLは「https://mastodon-japan.net/@kozuehinatsu」だったので、入力するのは「[email protected]」となります。 「アカウント設定」で受け入れ準備。 引っ越し元のユーザーIDを入力したら「エイリアスを作成」をクリックします。これで引っ越し先の準備ができました。 #### 旧アカウントで引っ越し設定をする 新アカウントの準備ができたら、いよいよ旧アカウントで引っ越し設定をします。 「引っ越し先のユーザーID」には「新アカウントのID+@+新サーバーのドメイン」を入力します。例えば私の場合、引っ越し先は「https://fedibird.com/@kozuehinatsu」なので、「[email protected]」と打ちます。「現在のパスワード」は、旧アカウント側のパスワードを入力します。 引っ越しは「アカウント設定」から。 「フォロワーを引き継ぐ」をクリックすれば引っ越し設定は完了です。私はたった2、3分で引っ越しが終わり、気付いたらもう新サーバーにいたので、かんたんすぎて拍子抜けしたくらいでした。 #### 新アカウントにデータをインポート 新アカウントの設定画面からインポートします。 「参照」をクリックして先ほど保存したCSVファイルを選び、「インポートする項目」ではそれに合ったものを選びます。例えばフォロー先をインポートするときは、「フォロー中のアカウントリスト」を選んで「following_accounts」ファイルをアップします。 旧アカウントのデータをインポートすれば新アカウントもこれまで通りに使える。 他、画面右のほうには「統合」と「上書き」の選択があります。「統合」では新アカウントですでにフォローしているアカウントはそのままに旧アカウントのフォロー先を足す形になり、「上書き」ではフォロー先をエクスポートしたデータに置き換えることになります。たいていの人は統合でいいと思いますが、ニーズに合わせて好きな方を選びましょう。 これで、新しいサーバーでも今までと何ら変わらずMastodonを使うことができます。 #### 引っ越しの際の注意点2点 サーバー引っ越しを考えるときには注意点もあります。 ##### 旧アカウントでのやり残し まず一つは、引っ越し設定をすると、旧アカウントでは設定やデータのエクスポート、アカウント消去以外のことはできなくなります。つまり、プロフィールを編集したり、投稿を削除したりすることはできません。 なので、もし旧アカウントでまだやりたいことが残っていたという場合は、引っ越し設定を解除して旧アカウントを再びアクティブにします。私は一度引っ越した後、プロフィール欄に新アカウントへの案内などを書く必要性が出てきたのでいったん解除することにしました。引っ越し設定を解除しても、一度移行したフォロワーは旧アカウントには戻りません。フォロワーさん達を振り回さないですむので安心です。 ##### 投稿を移行するには外部ツールが必要【更新】 もう一つ注意したいのは、投稿を新アカウントにインポートしたい場合は、外部のツールが必要になるということです。Mastodonはサーバーごとに機能が少しずつ違ったりするので、ダウンロードしたエクスポートファイルをそのままインポートすることが技術的にできないのです。いまのところ公式ツールは存在しません(2025年10月現在)。 利用できるツールはGitHubなどで探すとあることにはあります。ですが、使うにはエンジニアレベルの知識が必要なので、一般的なユーザーには難しいのが現状です。私は、自分にはハードルが高かったというのと、新アカウントにはすでに投稿があったことから、旧アカウントの投稿はインポートせずに引っ越しを完了しました。重要な投稿は、新アカウントで同内容を新規投稿しました。 他、代替手段として、国内のユーザーでは投稿記録サービス「notestock」を利用している人もいます。ここに登録しておけば引っ越し後も投稿が保存されますし、特に複数のアカウントを運用している人は投稿を一か所にまとめたりする用途で日ごろから便利に使っているようです。 外部リンク:notestock サーバーを引っ越しする際には、投稿をどうするかをあらかじめ決めておくといいでしょう。 ## Threadsにとびつく前に知るべきこと Threads(スレッズ)がリリースされると、たった5日で1億人を超えるという驚異的な伸びをみせました。読者の中にもアカウントを作った、使ってみた、という人がいるのではないでしょうか。私の周囲でも「始めました」という報告が一気にあふれたので、話題の沸騰ぶりを肌で感じます。 こうしてThreadsは、新しいSNSのなかでひときわ目立つ存在になりました。しかし、私はむしろ、だからこそ別の選択肢を紹介すべきだと考えてこの記事を書いています。Mastodonには圧倒的なメリットがあるからです。以下ではその解説や比較をしていこうと思います。 ### 次世代SNSは「フェディバース」の方向へ **Threadsはリリース時点から、Mastodonなど他の「フェディバースプラットフォーム」の人ともフォローややり取りを可能にすることをメリットとして打ち出していました。** そして2024年3月、Meta社はとうとう実現にこぎつけます。 そう、つまり、**今ではThreadsアカウントからMastodonアカウントをフォローしたり、またその逆ができる** のです。 リリースされた直後のThreadsで表示されていた説明。2024年3月、実際に他のフェディバースプラットフォームの人ともフォロー等ができるようになった。 さて、ここに出てきた新ワード「フェディバース」とは何なのでしょうか? それをはっきりさせておきましょう。 「Fediverse(フェディバース)」とは、各サーバーが独立しつつも相互につながっている、その全体のことをいいます。上記で、Mastodonは宇宙にたくさんある星が互いにつながっているイメージだと言いました。このイメージで言うと、星=サーバー、宇宙=フェディバースです。 フェディバースのメリットは、別のプラットフォームともつながれることです。従来型のSNSだと、たとえばTwitterからFacebookのアカウントをフォローすることはできませんよね。いわば、それぞれが閉じた世界だったのです。それが、**フェディバース内では、Mastodonアカウントを持っていればThreadsのアカウントともつながれる、というように、プラットフォーム同士の垣根がなくなるのです。** いま、SNSの次の形はフェディバースに向かっているといえるかもしれません。 ### Mastodonをおすすめする理由 フェディバース内では垣根がないとすれば、「ならThreadsアカウントを持っていればもう十分なのでは?」と思われるかもしれません。 確かに、プラットフォームそれぞれでアカウントを作らなければならなかった従来型SNSと違って、フェディバースではどれか一つだけでもやっていけるのは事実でしょう。 ただ、そのフェディバース内といえ、プラットフォームはそれぞれ違っています。だったら、より良いプラットフォームでやっていきたいと思うのが自然ですよね。**ではどれがいいのか、と考えた時、私から見て、現状最高なフェディバースのSNSはMastodonに違いありません。** 以下ではその理由を説明していこうと思います。 #### 「有名大企業=いいこと」ではない Threadsは、Meta社の新サービスです。Meta社といえば、SNSの金字塔たるFacebookの創始・運営会社。アメリカの巨大IT企業「GAFA」の一社にも数えられます。世界的な有名大企業ですね。 リリースからたった5日で1億ユーザー突破と、Threadsは爆発的に広まりました。でも、使ってみた人からは「使いたいと思わなかった」「まだβ版のようだった」など不便さを訴える声が上がっています。私から見ても、Threadsにとりたてて優れたところはありません。 それなのに、Threadsが飛びぬけたのはなぜなのか。私は世の中の様子を見ていて、「やっているのが有名な大企業だから安心」という風潮があるように感じています。無名の企業はなんとなく不安でも、有名企業なら「しっかりできているに違いない」という気がしてくるもの。それに、グローバル巨大ITともなれば、話題性や宣伝費も豊富です。「これに乗っておけばうまくいきそうだ」と将来性を感じるのも無理はないでしょう。 しかし現実には、有名企業・大企業であることは、モノやサービスが良いことに直結しません。むしろ、有名な大企業だからこそ、儲けを追求した果てに暗い不祥事を起こし、人や社会に害をなすケースは多々あります。 ##### Threadsで勝負をかけるMeta社の過去と実情 Meta、旧Facebook社の過去をたどれば散々です。 2016年には、Facebookから流出した8700万人分の個人情報が、米大統領選で民衆の心理操作に利用され、かの白人至上主義者・トランプ氏を当選に導くのに大きな役割を果たしました。民衆の心理操作などと言ったらまるでSF映画のような話ですが、事実です。プライバシーへの懸念も深刻です。そもそも、大統領選で民衆の心理を操作できたのは、Facebook内に、何という名前の、どこの、どんな人が、日々何を考えて暮らしているか、背筋が凍るほどの個人データがため込まれていたからでした。 他にも、誹謗中傷やヘイトスピーチが氾濫しているのに対応が遅いことや、傘下のInstagramによる「SNS疲れ」や若者の心理に与える悪影響なども批判され続けています。 これだけ陰惨な事実を聞いてもまだ、Meta社のサービスは、安全で、安心で、将来性があって、信用できるでしょうか? もっとも、社会からの批判にMeta社は反応してきましたし、マーク・ザッカーバーグCEOは幾度も公聴会で証言を行いました。しかし、同社に抜本的に変わったと言える要素は見当たりません。何を隠そう、Facebookが社名をMetaに変更したのは、Facebookの不祥事で社についた悪いイメージを煙に巻くためでした。FacebookもといMetaは近年下降線をたどっており、もがきながら打開策を模索しているのが実情です。 そんなMetaが世に放った新サービスがThreadsでした。運営体制が同じなのだから、またいつ同じような問題が起こっても不思議はないのです。したがって、もし「今までのSNSは使いにくいし問題だらけだから新しいプラットフォームに移動したい」というなら、Threadsは適しているとは言えません。 #### 従来型SNS運営のデメリット―ユーザーは優先されない SNSをめぐる問題を理解しようとする際、ポイントとなるのは、「運営はビジネスとしてやっているのだ」という点です。 FacebookやInstagramは、かつては誰でも投稿にアクセスできたのが、途中からログインしないと見られないようになりました。また、Twitter(現・X)の仕様変更を振り返ると、自分が「いいね」したものがフォロワーに表示されるようになったのはユーザーからすこぶる不評でした。 では、なぜこのような、不便になるような変更が行われたのでしょうか? 今回は長くなるので細かい説明は省きますが、SNSの運営会社がどうやって利益を出しているかといえば、彼らの収入源は、サイト上での広告表示やユーザーデータの販売がメインです。したがって、運営会社には「できるだけサイトに人を集めて、長くとどまらせたい」という都合があります。そのほうがユーザーにより多くの広告を見せられますし、より多くの行動データをとれるからです。 たとえ機能が不評でも、運営会社にとって「お客様」は広告主です。ユーザーではありません。だからユーザーの利便性やプライバシー、安心して使える環境整備は優先されないのです。この構造はMeta社だろうが、もっと新しいBlueskyであろうが変わりません。 #### オープンソース・分散型だから可能になったこと その点、Mastodonは非商用のオープンソースソフトです。つまり、Mastodonを動かすソフトウェアは、誰でも無料で使っていいのです。このソフトに加えて他の設備をそろえれば、サーバーは誰でも作ることができます。 なので、運営者はサーバーごとに様々です。現状、運営者の多くは有志の個人で、中には企業や団体が運営しているサーバーもあります。上記で3つ紹介したような信頼置けるサーバーにいる限りは、自分の行動データが知らぬ間に分析され、売りに出されるようなことはありません。 **Mastodonは、運営企業のビジネスの都合がはさまることがないので、ユーザーにとっての便利さを優先することが可能になっているのです。** ### Mastodonのおすすめポイント5選 機能や設定がユーザーにとって使いやすいように設計されているのは、企業が運営する他のSNSとは一線を画す、Mastodonの大きな特徴です。カスタマイズの幅も広く、ユーザーそれぞれが自分にとって快適なように設定できるのも魅力です。 以下では、ユーザーの間で好評な点や、人によってはニーズがありそうなおすすめの機能を紹介します。 #### 大好評! 本文や画像を隠せる「閲覧注意(CW)」機能 **実際にMastodonを使っているユーザーから喜びの声が上がっているといえば、何といっても「閲覧注意(CW)」設定でしょう。** 警告文だけを公開し、見てもいいと思った人がクリックするまで本文や画像が表示されないように設定できるのです。 この機能は、マンガ、アニメの二次創作をしている人などにとても喜ばれています。あるいは、ちょっとネガティブなことを言うときに活用している人もよくいます。 例えばですが、こんな感じです。 投稿画面で「閲覧注意」のマークを押すと、警告文を書く欄が出てくる。 私はこんなふうに、「内容的にちょっとデリケートかな」とか「人によっては不快かな」と感じたときによく利用しています。 #### 「お気に入り」したものは相手以外には非公開 **Mastodonではいまでも、「お気に入り」を押したときに通知される相手は投稿者だけ** です。「お気に入り(=いいね)」したものが他のユーザーやフォロワーに公開されることはありません。 以前、Twitterで「いいね」したものが他人のタイムラインに表示されるように仕様変更された時は、ユーザーから「ユーザーのニーズに合ってない」「向かない」などと不満の声が上がりました。それとは違って、Mastodonはユーザーの便利さを優先できるので、人目を気にすることなく、自分の好きなものだけに「お気に入り」できるよう作られているのです。 さらに、「お気に入り」ではなくブックマークを使えば、自分が登録したことは投稿主にも知られることはありません。うまく使い分ければ快適にSNSライフを楽しめるでしょう。 #### フォロー先とフォロワーを非公開にできる 設定で「プロフィール編集」→「プライバシーとつながりやすさ」に行き、「フォローとフォロワーの一覧を開示する」からチェックを外せば、自分のフォロー先とフォロワーは非公開にできます。 つながりをあまり詮索されたくない人にはおすすめの機能です。 #### タイムラインに表示される投稿の言語をしぼれる 「ユーザー設定」→「その他」には、タイムラインに表示される投稿の言語を選択するという項目があります。 例えば、この言語リストで日本語だけにチェックを入れれば、タイムラインに表示されるのは日本語の投稿だけにしぼれます。 言語リストの中から表示したい言語だけにチェックを入れ、ページ下の「保存」をクリック。これで、その言語の投稿だけを見られるようになる。 公式サーバー「mastodon-social」で始めた人の場合、タイムラインに出てくる投稿はほとんど外国語だ、という事態に直面することになると思います。次々流れてくる外国語を前に「これじゃあどうしようもない……」と放心した人、あるいはアカウントを開いたとたん去ろうとした人もいるかもしれませんが、心配ご無用。言語も自分で制御できるようになっています。 #### 古い投稿を自動で削除 **少しめずらしいところだと、Mastodonには古い投稿を自動で削除する機能があります。** インターネットが定着して年数が経った昨今では、「何年も放置していた自分の投稿をたまたま見たら、恥ずかしくて身もだえした」といった話がよくあります。そのために「黒歴史を消すアプリ」とかも出回っていますね。 もしこういうことが気になる人は、設定のメニューから「投稿の自動削除」をオンにして、数日なり、数ヶ月なり、数年なりが経ったら投稿が自動で消えるようにしておくといいかもしれません。 設定を見ていけば、上で紹介した以外にも、フィルター機能や、見つかりやすさを調整する機能が出てきます。この自由度こそMastodonの真骨頂。自分で「これは!」と思うものがあったら活用するといいでしょう。 ## 結びに―最善の選択・Mastodonにいざ来たれ! 以上、Mastodonの始め方と使い方の解説はいかがだったでしょうか? 従来型SNSへの問題意識の上に立ち、ユーザーのために作られたプラットフォーム。**私が見る限り、ユーザーにとっての使いやすさとセキュリティ・プライバシーにおいて、Mastodonの上を行くSNSは見当たりません。** これで全ての問題が解決されるのだと大きなことを言っているわけではありませんが、現状においては、私たちがとり得る最善の選択だと思います。 確かに、巨大ITが運営するSNSは、商用には向いています。例えば、リツイートで抽選キャンペーンに応募する、クーポンをもらう、大手メディアから情報を収集する……。「クーポンアプリ」や「情報収集ツール」だと割り切れば使えるでしょう。 しかし、**人と交流するというSNS本来の目的なら、最も安全かつ良くできているのはMastodonだと私は断言します。** そんな目の前に転がっている優秀なSNSが、今後人々に選ばれ、影響力を持つためには、盛り上がりも大事になってくると思います。 上記で解説したような「承認制アカウント(=鍵アカウント)」や投稿の公開範囲「フォロワーのみ」などを駆使すれば、ファンの交流など、ごく小さな閉じたグループ内だけで使うことも可能です。まずは知り合い同士でまとまって移行してみる、なんていうのもいいかもしれません。 モノやサービスが魅力的かどうかは、有名大企業のネームではなく、中身で判断するものです。もしごく気軽に「とりあえずThreadsを作った」「Blueskyをやってみた」というなら、「とりあえずMastodonも作ろう」と考えるよう強く勧めたいと思います。この先Meta社やIT大手にため息をつくことはあっても、ビジネスの都合に振り回されることがないプラットフォームに後悔する要素はないからです。 さぁ、読者のあなたも > Post by @[email protected] > > View on Mastodon ## 関連記事・リンク 著者・日夏梢プロフィール||X(旧Twitter)|Mastodon|YouTube|OFUSE GAFA独占の問題点と日本の現状・課題 Discordのアカウント作成方法と使い方―招待されてやってみた感想と現状 X(旧Twitter)、LINE等のアカウント乗っ取り対策まとめ&SNSの今後 YouTuberの行く末~問題とその後を解説 インターネットからの個人情報流出事件解説と、自分でできる対策 (※性質上、この記事はアップデートされることがあります。記事公開:2023年7月23日、最終更新:2025年11月30日) #Mastodon #Threads
Denzi 

















